北千里駅前再開発|行政に正式提案して分かったこと(吹田市行政回答)
こんにちは。
北千里駅前再開発シリーズ、第5弾です。
これまでの経緯や背景については、過去記事で詳しく整理しています。
第1弾
第2弾
第3弾
第4弾
先日公開した後藤議員の回答に続き、
今回は吹田市からの公式回答内容を整理・解説します。
これまでの記事では、
再開発規模が
従来:約6万㎡ → 今回:約4万5千㎡(駐車場・駐輪場含む)
へと実質的に縮小していること
住民意見交換会では
「生活が完結できる商業規模の維持・拡大」を求める声が多かったこと
をお伝えしてきました。
今回は、
北千里駅前再開発について、行政(吹田市)に対して正式な提案書を提出し、
文書による回答を受け取った結果を整理します。
感情論ではなく、
「行政は何を把握していて、何を把握していないのか」
を冷静に確認する回です。
行政に提出した質問・提案内容
今回、市に提出したのは
**「北千里駅前再開発計画見直しおよび拡充に関する正式提案書(詳細版)」**です。
ポイントは次の3点です。
現行計画(約4万5千㎡・実質3階建て規模)では
北千里が担ってきた
「地区センター」「広域商圏の核」機能として不足するのではないか
純商業床が
約2万5千〜2万8千㎡まで縮小する可能性
単なる商業施設ではなく、
知的・文化・国際・教育・健康機能を備えた複合拠点への再設計提案
詳細な内容は、以下に原文を掲載します。
質問を表示(クリックで表示)
北千里駅前再開発計画見直しおよび拡充に関する正式提案書(詳細版)
提出者:公開の都合上ここでは匿名とします(第4回北千里駅前再開発意見交換会出席者(令和6年2月24日開催)・地域清掃ボランティア活動 20年以上)
◆ はじめに
先日の市からのご回答において、本計画は商業・公益棟の延べ床面積が駐車場・駐輪場を含め約4万5千平方メートル、実質3階建て規模であるとの説明を受けました。しかしこの規模では、北千里駅が本来担うべき 「千里ニュータウンの地区センター」「北摂北部の広域商圏の核」 の役割には著しく不足すると考えます。
◆ 現行計画が抱える課題
1. 商業床の事実上の大幅縮小
従来計画:商業 約4万㎡+駐車場 約2万㎡ = 計 約6万㎡
今回計画:駐車・駐輪含む 約4万5千㎡
→ 純商業床は約2万5千〜2万8千㎡へ縮小
2. 3階建て計画による都市競争力の喪失
周辺競合施設との比較:
EXPOCITY:延べ床約21万㎡
箕面大型商業施設:延べ床約10万㎡
→ 北摂有数の駅前立地にもかかわらず縮小型再開発
→ 若年層流出・回遊人口減少・将来税収低下 が確実
◆ 北千里に求められる都市機能(代替案)
重複競争型の商業ではなく、知的・文化・国際・教育・健康の複合拠点 として再設計すべきと考えます。
都市機能構成案(統合版)
知的・教育・文化機能
専門書ライブラリー(知的生活都市の象徴となる基幹施設)
ミニ学会・研究発表・ワークショップスペース
大学教員による公開講義、学生・研究者参加型プログラム
大学キュレーションショップ、カルチャー教室
日常型レンタルオフィス(学習・研究・事業の拠点)
国際・社会交流機能
国際交流カフェ
外国人・留学生向け生活サポートセンター(小規模行政窓口)
多世代交流スペース
屋内外イベントホール/屋上イベントスペース・マルシェなど
スポーツ・健康機能
室内スポーツ(卓球・バドミントン等)・体力測定施設
子育て・ファミリー機能
保育・学童・幼児教育施設
キッズ&ファミリー大型遊戯施設
生活支援・行政機能
行政サービス窓口(住民票・所得証明等取得可能)
交通・駐輪基盤
大型二輪・幅1.5m超大型トライク対応の平面駐車区画
通路幅・入口幅に余裕を持たせた安心設計
食文化・商業機能
高品質食料品店、カフェ、生活利便サービス
体験型飲食エリア
多様な飲食
ライブキッチン・スイーツ店(都市部向けライブ調理形式)
ポップアップ/インキュベーションショップ
デジタル・情報
OMO型デジタル施策、地域情報の統合発信拠点
➡ 単なる商業施設ではなく人が集い価値を創造する都市型拠点へ
◆ 市に求める正式要求
純商業床の4万㎡規模への再拡大
5〜8階の中層複合施設として再検討
地域交流・教育文化施設の追加
市民説明会およびオンライン意見募集の追加開催
需要予測資料および根拠の開示
◆ 結び
北千里駅前は、50年以上にわたり住民が守り育ててきた地域の中心です。
今求められるのは、規模縮小型再開発ではなく 「未来の北大阪を支える知的・国際都市としての再構築」 です。
私は一市民として、北千里の衰退を見過ごすことはできません。
本提案の再検討と、今後の建設的な協議と対話の機会を強くお願いいたします。
以上
行政からの正式回答(全文)
市からは、文書にて正式な回答がありました。
要約ではなく、全文をそのまま掲載します。
行政回答の全文はこちら。
回答を表示(クリックで表示)
平素は市政発展のために御理解、御協力をいただき、厚くお礼申し上げます。
令和7年12月2日付けでいただいた標題の件につきまして、「市に求める正式要求」について以下のとおり回答させていただきます。
商業床の規模や施設構成に係るご意見につきましては前回(令和7年12月1日)に回答させていただきました商業施設の考え方のとおりでございます。
なお、施設構成や商業規模の検討状況としましては、事業検討主体である準備組合において地権者の生活再建も考慮しながら、当該地区にとって適正な規模や商業施設利用者にとって利用しやすい施設構成となるよう検討しておられます。
地域交流・教育文化施設につきましては、本事業に併せて文化学習活動、ボランティア活動などの多様な地域活動や交流に資するコミュニティセンターの設置を検討しています。
市民説明会やオンライン意見募集の追加開催、需要予測資料等の開示に関するご要望につきましては、段階的な情報提供や、地域等との意見交換など、丁寧な事業推進に向けて準備組合と協議しながら進めてまいりますので、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
なお、今回いただきましたご提案(本市民の声)につきましては準備組合に共有させていただきます。
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吹田市 都市計画部 計画調整室
市街地再開発担当
●行政回答から読み取れること(事実整理)
今回の回答で、いくつかの重要な事実がはっきりしました。
① 商業床の具体的な規模は、市では決めていない
→ しかし市はその根拠を把握していない可能性がある
回答では一貫して、
商業床の規模
施設構成の詳細
については、
「事業検討主体である準備組合(民間)」が検討している
とされています。
つまり、
純商業床が何㎡になるのか
なぜその規模が「適正」なのか
について、
市は具体的な数値や根拠を示していません。
そして後藤議員の回答からは、
その「検討結果」や「根拠」が
議会側にも十分共有・整理されていない
ことが示唆されます。
つまり、
市民
議会
行政
のいずれに対しても、
「なぜこの規模なのか」を説明できる共通資料・根拠が存在していない可能性
が浮かび上がります。
② 市は「調整・支援役」にとどまっている
再開発は民間主導であり、
地権者の生活再建
事業として成立するかどうか
を優先しながら、
準備組合が検討を進めている、という位置づけです。
市は、
情報提供を求める
丁寧な事業推進を協議する
立場ではあるものの、
計画内容そのものを主導して決定しているわけではない
ことが読み取れます。
③ 住民提案は「共有」されるが、反映は未定
今回の提案については、
「準備組合に共有させていただきます」
と明記されています。
これは、
住民の声が無視されたわけではない
しかし、計画に反映されるかどうかは別問題
という現実を示しています。
意見を出した=計画が変わる、ではない
という点は、冷静に理解しておく必要があります。
●なぜ不安が解消されないのか
今回の回答で分かったのは、
「縮小かどうか」以前に、判断材料が住民に示されていない
という点です。
純商業床は何㎡なのか
将来の需要予測はどうなっているのか
なぜ3階建て規模が妥当なのか
これらが示されないままでは、
本当に北千里が
50年後も地域の中心として機能し続けるのか
を判断することができません。
北千里駅前は、
一度建て替えれば、次に見直せるのは数十年後になります。
だからこそ、
「反対か賛成か」ではなく、
根拠と数字に基づいた説明が不可欠だと感じています。
●行政回答を補足する議会側の見解
本記事公開に先立ち、北千里駅前再開発について質問をお送りしていた
吹田市議会議員・後藤久美子さんから、文書でのご回答をいただきました。
その内容は、本記事で整理する行政回答の読み取りにおいて、
非常に重要な示唆を含んでいます。
議会側も認識している課題(後藤議員の回答)
議会側も認識している「市民意見と縮小案のギャップ」
後藤議員からの回答で、まず明確になったのは次の点です。
意見交換会で出された
「生活が完結できる商業規模の維持・拡大」を求める市民の声
現在示されている
実質的な縮小案(約6万㎡ → 約4.5万㎡)
この二つの間にあるギャップについて、議員自身も「重要な問題」と認識しているという事実です。
「なぜ縮小したのか」は、議会でも整理途上にある。
後藤議員の回答では、次のような点が示されています。
縮小に至った理由や検討経緯
市民意見をどのように整理し、計画に反映してきたのか
これらについて、
丁寧な説明と共有が不可欠
現在、行政側の説明内容を改めて確認・整理している段階
であるとされています。
ここから読み取れるのは、
行政から市民に示されている説明だけでは
議会側としても、十分に納得・整理できていない
という現状です。
●今回のまとめ
今回、市に正式提案を行い、文書回答を受け取ったこと
さらに、後藤久美子市議から
市民意見と縮小案のギャップを「重要な問題」と認識している
という明確な回答を得たことで、
北千里駅前再開発をめぐる現状が、より立体的に見えてきました。
計画の詳細は民間主導で検討されている
市は具体的な商業床面積の数値根拠を示していない
議会側も、行政説明の整理・確認を進めている段階
住民の声は共有されるが、反映はこれから
これは批判ではなく、
**「現時点の到達点の整理」**です。
なお、本件に関しては、
北千里駅前再開発の「縮小案」に疑問を持つ住民として、
筆者が発起人となり、地域住民の賛同を募る署名活動を行っています。
※2026年1月11日時点で、署名は46名となっています。
(短期間での自発的な署名であり、現在も増加中です)
※署名数は記事公開時点のもの
署名者のうち1名は筆者の家族ですが、
それを除く全員が北千里および周辺地域に暮らす地域住民です。
本署名は、特定の団体や組織による動員ではなく、
再開発の内容や進め方に疑問や不安を感じた
地域住民一人ひとりの自発的な意思表示として集まっています。
新婚世帯など、将来世代からの声も届き始めています。
再開発は、一度決まれば簡単には元に戻せません。
「後から知って後悔しない」ためにも、
今、声を届ける選択肢があります。
▶ 北千里駅前再開発に関する署名はこちら
https://voice.charity/events/10198
【お知らせ】
なお、明日13日12時には、北千里駅前再開発の縮小案について、
見直しを求める市民署名が50人を超えたことを報告する記事も公開予定です。
市民の声がどのように積み重なっているのか、ぜひあわせてご覧ください。
この記事を書いた人
Kawauchi(北千里在住)
北千里で生まれ育ち、現在も家族とともに北千里で暮らしています。
地元の再開発が住民の生活や未来世代のために望ましい形になることを願い、
独自調査・行政への問い合わせ・議員への要望などを通じて情報収集・分析を行っています。
数学科大学院修了(理学修士)。
論理と数字を根拠にした客観的視点で、北千里・千里中央再開発について発信中。
地域の未来に関心を持つ方々と、正しい情報に基づいて
より良い街づくりを考えるプラットフォームを目指しています。
プロフィールはこちら。
千里ニュータウンの未来を守る会(SFD)
※本会は、筆者個人が代表を務める任意の市民活動です。
私たちは、この街の未来のために活動しています。
共感いただけた方は、ぜひ一緒に声を届けてください。
