こんにちは。
今回は、前に書いたお得な切符の買い方に関連した話題です。
みなさんはJRで運賃が知りたいときは乗換案内で検索しますよね?
でも、実は運賃って手計算することができます。
運賃は乗車する経路のキロ数で計算されます。つまり距離によって運賃は定められています。
まずはキロ数に種類があるので、キロ数の出し方から。
まず、JRには幹線と地方交通線の2種類があります。時刻表の地図を見ると幹線は黒色、地方交通線は青色で表示されています。
(1)営業キロ
JR各線の幹線、またはJR東日本、JR東海、JR西日本(本州3社という)およびJR北海道の地方交通線のみを利用するときに使うキロ数。
特急料金などの計算や割引の条件を出したり、有効期間の算出にも営業キロを使用します。
(2)換算キロ
本州3社およびJR北海道の幹線と地方交通線とを連続して乗る場合に使うキロ数。
(3)擬制キロ
JR四国およびJR九州の地方交通線を使う場合のキロ数。
(4)運賃計算キロ
幹線と地方交通線とを連続して乗るときの運賃計算に利用するキロ数。幹線部分の営業キロと地方交通線の換算キロ(JR四国、九州は擬制キロ)を合計したもの。
これだけじゃなんのことやらよくわかりませんよね。では例を出してみましょう。
例1 大阪~岡山まで乗車
大阪~岡山はJR西で幹線なので営業キロを使用。
時刻表を見ると営業キロは176.5キロ。1キロ未満は切り上げるので177キロ。よって運賃表の161~180キロのところをみて3020円と計算します。
例2 大阪~天理まで乗車
大阪~奈良
奈良~天理と分けます。
時刻表を見ると大阪~奈良は幹線で営業キロは47.0キロ、奈良~天理は営業キロ9.6キロ、換算キロ10.6キロ。
奈良~天理は地方交通線なので、さらに幹線と連続して利用するので換算キロを利用します。
よって10.6キロの方を使うということがわかります。
したがって、47.0+10.6=57.6キロ。1キロ未満は切り上げて58キロ。よって970円となります。
基本的にこれだけです。意外と簡単でしたか?ただし経路が複雑になるととたんに難しくなります。私も前職の研修では運賃計算の問題でよく間違ったものです。
次に割引乗車券について
割引については往復割引と学生割引があります。
往復割引
片道の営業キロが601キロ以上ある場合に往復乗車券を購入すると片道の運賃(ゆき、かえり)がそれぞれ1割引になります。
例3 東京~岡山間を往復する場合。
東京~岡山間の片道の営業キロは732.9キロ(733キロ)なので601キロ以上あります。なので往復割引が適用でき、普通運賃10480円に対し10480*0.9=9432円、10円未満は切り捨てて9430円。
よって往復だと18860円となります。
学生割引
JRから指定を受けた学校の生徒、学生の方で利用する区間の片道の営業キロが101キロ以上ある場合は運賃が2割引となります。
また、往復割引と学生割引は両方適用することが可能です。
加算額について
本州3社とJR北海道、四国、九州とをまたがって利用する場合、通しで計算した運賃(基準額)のほかにJR北海道、四国、九州の境界駅からの距離に応じた運賃(加算運賃)が必要です。
例4 大分~広島間の片道を利用する場合
大分~小倉 営業キロ 132.9キロ 加算運賃 210円
小倉~広島(新幹線) 運賃計算キロ 217.9キロ
運賃計算キロ 132.9+217.9=350.8キロ、よって351キロ。
基準額 341~360キロなので、5940円。
加算額 210円
合計 6150円
JRの特例について重要なものを一部抜粋します。
(1)特定区間の運賃計算の特例
下記の区間を利用する場合、どちらの経路を利用しても短い方の経路の営業キロを使用して運賃、料金を算出します。
片道101キロ以上の乗車券(大都市近郊区間のみの場合を除く)ならばどちらの経路でも途中下車できます。
1 山科~近江塩津 湖西線 74.1キロ、東海道本線、北陸本線 93.6キロ
2 大阪~天王寺 大阪環状線 天満経由 10.7キロ、福島経由 11.0キロ
3 三原~海田市(かいたいち) 山陽本線 65.0キロ 呉線 87.0キロ
4 岩国~櫛が浜 岩徳線 43.7キロ 換算キロ 48.1キロ、山陽本線 65.4キロ
※換算キロ以外は営業キロです。
(2)新下関~博多間を含む場合の特例
新下関~博多間は在来線と新幹線では運賃が異なります。きっぷを購入する場合は経路を指定してください。
この区間を含む場合、ゆき新幹線、帰り在来線であっても往復乗車券が発売されます。(片道601km以上あれば往復割引が適用されます)
例5 小倉~博多間の片道普通運賃
新幹線経由 1140円(JR西日本)
在来線経由 1290円(JR九州)
営業キロは同じ(67.2キロ)です。
小倉で在来線に乗り換える場合は小倉からJR九州ですが、博多まで新幹線でいく場合は博多までJR西日本となります。
距離は同じなのになぜ運賃が違うの?
それは先ほどでたJRの加算運賃です。JR九州は加算運賃が必要で営業キロは67.2キロ。加算額の表で61~70キロは150円ですからそれがちょうど差額となり在来線経由の方が高くなっています。
JR西日本には加算運賃はありませんからそのまま1140円となります。
(3)新幹線と在来線が並行する区間の特例
新幹線と在来線が並行している区間では同じ線として営業キロ等の計算をします。
東海道、山陽新幹線=東海道、山陽本線、鹿児島本線
九州新幹線=鹿児島本線
東北新幹線=東北本線
上越新幹線=東北本線、高崎線、上越線、信越本線
ただし、次の区間内の各駅(両端の駅を除く)を発駅、もしくは着駅または接続駅とする場合には別の線として営業キロ等の計算をします。
別の線として計算する区間
東海道、山陽新幹線と在来線 品川~小田原、三島~静岡、名古屋~米原、新大阪~西明石、福山~三原等
九州新幹線と在来線 博多~久留米、筑後船小屋~熊本
東北新幹線と在来線 福島~仙台、仙台~一の関、一の関~北上、北上~盛岡
上越新幹線と在来線 熊谷~高崎、高崎~越後湯沢、長岡~新潟
例6 岡山から新幹線で名古屋までいき、それから在来線で名古屋経由で岐阜まで行く場合
営業キロは岡山~名古屋の営業キロ366.9キロと名古屋=岐阜と営業キロ30.3キロを合算して397.2キロ、つまり398キロ。運賃は運賃表の381~400キロのところを見て6480円です。
(4)大都市近郊区間のみを利用する場合(俗にいう大回り乗車)
大都市近郊区間のみを普通乗車券または普通回数券で利用する場合は、実際に乗車した経路にかかわらず最も安くなる経路で乗車できます。
経路が重複しない限りは経路は自由ですが、途中下車はできません。途中下車する場合は、実際に乗車した区間と比較して差額を支払わなければなりません。
(5)新大阪駅、大阪駅と姫路駅以遠の駅との区間の特例
新大阪あるいは大阪の2駅と姫路以遠の駅との区間の運賃は大阪駅から、または大阪駅までのキロ数で計算します。
(6)分岐駅を通過する列車に乗車する場合の特例
次の区間の左側の駅から枝分かれする一方の線区から他方の線区まで乗車する場合で、列車が左側の駅を通過するために左側の駅と右側の駅との区間を折り返し乗車する場合は、その区間のキロ数は含めないで運賃計算をします。
ただし、折り返し区間の中では途中下車できません。折り返し区間内で途中下車するときは、その区間に対する運賃(乗車券)が必要です。
例7 広島から山陽新幹線で岡山まで行き、そこから伯備線で新見まで行く場合
広島~新見間の運賃は広島~倉敷、倉敷~新見間の営業キロの合計である209.8キロで計算されるので3670円です。ただし、岡山で途中下車する場合は、倉敷~岡山の往復運賃640円が別途かかります。
(7)特定の都区市内駅を発着する場合の特例
大阪、東京など11都市内の駅とその都市内の中心駅からの営業キロが201キロ以上ある駅との区間の運賃は、その都市内を経てから再びその都市内を通過する場合(または都市内を通過し外を経てからまたその都市内に戻る場合)を除いて、中心駅から(あるいは中心駅まで)の営業キロ、運賃計算キロで計算します。
都区市内発(あるいは着)の乗車券は、それぞれの同じゾーン内の駅からであればどの駅からでも乗る(降りる)ことができます。
ただし同じゾーン内の駅で途中下車はできません。
例8 串本~天王寺間の運賃
天王寺は大阪市内ゾーンにある駅で中心駅の大阪駅から串本駅までの営業キロは201キロ以上あるのでこの特例が使えます。
そして運賃は串本~大阪の営業キロ231.1キロで計算するので4000円です。
特急券について
さきほどまでは乗車券についてでした。ここからは特急券についてです。
特急券にはご存じのように、席が確保されている指定席特急券と確保されていない自由席特急券があります。
指定席の特急料金については時期により異なり、それぞれ閑散期、通常期、繁忙期にわけられます。
通常期を基準にして閑散期は200円引き、繁忙期は200円増しとなります。
自由席の場合は指定席特急料金から520円引きです。
在来線の特急料金にはA特急料金とB特急料金があります。A特急料金はJR北海道、JR四国。B特急料金はJR東日本、JR東海、JR西日本、JR九州です。
新幹線についても同じですが、新幹線の自由席の料金はひかり、こだまの料金から520円引きです。
例9 東京から岡山まで繁忙期に利用する場合
新幹線の特急料金表を見ると東京~岡山間は6860円。よって6860+200=7060円。
まとめ 指定席 通常期 乗車券 特急券
閑散期 乗車券 特急券(200円引き)
繁忙期 乗車券 特急券(200円増し)
自由席 乗車券 特急券(通常期の料金から520円引き)
以上になります。
参考
[1] JR西日本 JRご利用ガイド きっぷのご案内 (駅に備え付けられています)